01.はじめに
弊社がこれまで設計してきた実際のリノベーション事例のプロセスをご紹介します。
築60年の壁式鉄筋コンクリート(以下、壁式RC)住宅の増築と改修の設計をしました。
戸建て住宅の規模で、壁式RCに対して増築をするという選択は、あまり多くない事例ではありますが、このプロジェクトを終えて、可能性のある選択だと感じたので、参考にしていただければ幸いです。
02.計画の始まり/建て替えの計画
2020年の年末に、住宅の設計を依頼したいという相談をいただきました。
お客様は祖父母が建てた築55年の住宅で暮らしている状態でしたが、家族が増え手狭に感じていたことと、設備機器の劣化等から、当初は建て替えから計画はスタートしました。
必要な部屋・求める住環境・機能などの要望を伺い、この敷地・周辺環境・条件・予算のなかで最大限できることの可能性を探るために、案を考えては模型を作り、覗き込んだりして、ああでもないこうでもないと、様々な方向性を探っていきました。
数カ月ほど掛けて様々な方向性を検討し、案をまとめ上げ、建て替えでの計画(新築)をお客様に提案模型とともに説明しました。 この提案をお客様はとても気に入ってくださったのですが、打合せのなかで、お客様から「既存の住宅を活用するという方向性もあるのか?」という話があがりました。
僕としても、
・既存はコンクリート造の住宅で全解体に費用が掛かること(600万円程度)
・既存の躯体状況は一見して良質そうであること
などの理由から既存を活かす可能性はあり得ると思ったため、
「既存を活かす可能性は十分にあり得るため、構造の専門事務所にも相談し、躯体的に問題なさそうであれば、既存を活かす案も提案します。」
と回答し、構造専門事務所への相談等の結果、既存を活かした案も提案し、「新築案」と「既存活かし案」の2案を比較してクライアントに選んでもらうことになりました。
03.増築という選択
既存活かし案は、既存だけでは面積的に不足していたため「増築と改修」(以下、増築案)という提案をすることになりました。
この増築案も様々な方向性を検討し、最終的には 増築案2案+最初の新築案の計3案の提案をクライアントに見ていただき、選んでもらうことになりました。
「増築案」は新築と比べて制約があるため、クライアントが望む住宅ができるのかイメージしづらかったようなのですが、新築案・増築案ともに模型を用いて提案をし、新築と比べて忖度のない計画を増築でも可能であることが、クライアント自身も分かったようで、結果、「増築案」で計画を進めることになりました。
このように、弊社では既存建物の状態を調査し、建て替え新築・リノベーションなど様々な計画の方針があるなかで、どれが最適かの検討と提案から行うことも可能です。
築年の古い住宅を所有(または所有予定)の方で、建て替えかリノベーションかの検討段階からでもお気軽にご連絡ください。
鈴木隆介一級建築士事務所
住所:愛知県名古屋市南区堤起町2-66
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